どえらいもんを見た。
やっと整理がついたので、ここに記しておきます。
12月23日(金)新代田FEVERにて行われた
「The greatest thanks day to you」
石田ショーキチGROUPのライブレポです。
※以下、出演者のセリフは、個人の思いだしメモのため、そのままの言葉ではなく、私が受け取ったニュアンスも含めての記載であることをご了承ください。
ライブに行くのは何年振りだろうか。
CDを買わなくなり、音楽も聞かなくなり。
もちろん、テレビをつければ、ラジオをつければ、
音楽は流れてくるし、
自然に覚えて口ずさむ曲もある。
でも、自主的に聞くことは
本当に少なくなっていた。
そんなとき。
黒沢健一さんの訃報が飛び込んできた。
脳腫瘍が見つかったことは報道で耳にしていた。
でも、なんとか復活してくれる、
そんな楽観的な思いでいた。
頭が真っ白になるくらいの衝撃を、
人の死で受けたのは、今年に入って二度目だった。
どちらも、肉親ではない。
ただ、今の自分に大きな影響を与えた人だった。
どうしていいかわからないし、
自分にできることなんて何もなかった。
そんなとき、石田ショーキチさんのツイートが
飛び込んできた。
だからさ。俺だって明日死ぬかもしれないしさ。
— 石田ショーキチ (@Ishidalf) 2016年12月8日
好きなアーティストのライブはとにかく行っとけ。
行きたい場所には行っとけ。
健康診断も行っとけ。
愛する人の手は離すな。
焼き鳥は串から外すな。
これを見たとき、ライブに行こうと思った。
久々だけれど、いま行かないと、
これからどんどん行かなくなってしまう気がした。
それから、少しして、このツイートが流れてきた。
秀樹が腹を決めました。23日FEVERに歌いにきてくれます。俺たちは全ての人の想いを希望の光に変えて興行します。かかって来い。全力でロックンロールで返してやります。
— 石田ショーキチ (@Ishidalf) 2016年12月19日
https://t.co/TNbR8E3VmZ
やっぱり今だ。そう思った。
当日、久々すぎて緊張している自分がいた。
会場に着いたら。超満員。
チケット引き換えるカウンターに近づけなくて
最後まで待って、入場。
ビール片手に開演を待つ。背が低いことを呪いながら。
その中で、ショーキチさんと「Another Day, Another Night」のカバーを演奏してくれた。まさか、Spiral Lifeの曲が聞けるとは。しかも、PLASTIC GIRL IN CLOSETボーカルの子の声が車谷さんの声に似ていてびっくり。貴重なものを聴いた。ボーカルの子は、この曲を演奏することを考えて落ち着かなかったと歌い終わったあと、ほっとしていたのが印象的だった。
この後、本来であれば、橋口靖正さんのタームだったのだが、12月に急逝されたため、ショーキチさんと黒沢秀樹くんのユニットKing & Chicken が演奏。
ショーキチさんは、この年末、4人も知人がなくなったと言っていた。それでも、このライブをやる、そう決めた。ただ、この二人の掛け合いはのんびりしていて。
「生きてくって大変だねー」
「生きてるだけでお金かかるねー、税金とか保険とかー」
「ステージでする話じゃないね(笑」
それでも、音と生きていく。
音を楽しんで、人を音で楽しませて。
悲しみも、幸せも、音にのせて。
そんな強い意志をおなかに秘めて、
こんな会話ができる二人をとても素敵だと思う。
〈セットリスト〉
1、旅する僕ら
2、RASPBERRY BELLE [SPIRAL LIFE]
二人のハーモニーが美しくて、気がつけばどんどん笑顔になっていった。しかも、「Another Day, Another Night」に続き、「RASPBERRY BELLE」も聴くことができるなんて!
Spiral Lifeは、私が存在を知ってすぐに解散してしまったのでライブには行ったことがない。
「Spiral Lifeの曲を世界で唯一歌い継ぐ、ただ一人の本物のSpiral Lifeです!」
とショーキチさんが言って、今年一番の笑いを取っていたけれど、本当に、こうして歌を聴くことができる幸福を味わった。
秀樹くんが、さっきの「Another Day, Another Night」のカバーについて、「彼、くるちゃんが歌っているみたいで、すごく懐かしくなった」と言っていた。そこで、ショーキチさんが「あいつ元気かな」とぼそっと言っていた。(笑
そして、「恋のタンブリング・ダウン」に至っては、もう涙が。「みんな、パンパンパンってやってね」って秀樹くん!かわいすぎる!やりましたよ、20年ぶりに手拍子しましたよ!涙、流しながら。出る、と決意した秀樹くんを思い、秀樹くんの声にそっと声を重ねるショーキチさんを思い。来てよかった、と泣きながら、笑いながら。
そのあとは、秀樹くんのソロパート。
〈セットリスト〉
1、恋のスパイス
2、Endless Harmony
3、HELLO,IT'S ME [L⇔R]
秀樹くんのソロを聴いたのは初めてのことだったのだけれど、なんだか、とってもかわいらしくって、はにかんだ笑顔とか、「立ってやっちゃおっかな」(King & Chicken は座って演奏していた)なんていいながら、ふふふって笑いながらギターをさわったりする姿と
歌詞がぴったり合っていて、こちらもニコニコしてしまう。あらためてやさしい声だなー、彼の人柄が出ているなーと思う。
最後の一曲。その前に。「もう泣いている人がいるけど、早いよー」「今日は俺は泣いたら負けだと思ってる。でも、みんなは泣いていいよ」と。やさしいなぁ。そして、そのやさしさの奥に、しっかりとした決意を見た気がした。
そして、健ちゃんのお別れ会の告知を。「CDを買ったり、カラオケで歌ってくれたりすると黒沢家も助かるし(笑)、レコード会社のひとも『黒沢さんがいてよかったなー』って思ってもらえるからね」と、笑いを誘いながら、話してくれた。
実は、私は、訃報を受け取ったその週末、
一人追悼カラオケをしていたのだった。
そのとき、20年ほど前にラジオで聞いた健ちゃんのコメントを思い出していた。カラオケで自分の歌が歌われることについてどう思うかと問われ「歌えるもんなら歌ってみろ(笑」それを聞いて秀樹くんが「強気!」と言って笑っていたことも。
最後に、秀樹くんが歌ったのは「HELLO,IT'S ME」。大好きな兄貴への尊敬を込めて、と。もう、ここで涙腺が崩壊。この曲を歌った時の、健ちゃんの伸びのある声が、本当に「霞んだ空に口笛が突き抜けていくように」響いていたあの声が頭の中で同時に鳴って、なんとも言えない気持ちになった。
待ちに待った、ショーキチさんターム。「全力でかかってこい!俺が全部受け止めてやるから」のセリフに、からだごと全部、持って行かれた。
〈セットリスト〉
1、ブラックバード
2、太陽道路
3、Christmas night will come to town
4、サマーレイン
5、稜線上のランウェイ
6、コスモゼロ [MOTORWORKS]
7、霧雨
8、ICE NINE ~猫のゆりかご
9、Dance to God [SPIRAL LIFE]
10、Bye Bye Popsicle-一度だけのNo.1 [L⇔R]
11、KNOCKIN' ON YOUR DOOR [L⇔R]
アンコール
SATURDAY NIGHT [MOTORWORKS]
ショーキチさんの活動については、私が、Scudelia Electroの初期くらいまでで追いかけるのをフェードアウトしてしまったため、ライブは初めて。今回は軽く予習していったのだけれど、断然、ライブがかっこいい。
がつんとからだに響くギターの音。ライトの光を受けて光る、汗。セクシーな歌声。
気がつけば、夢中で体を動かしていた。
びしょびしょの汗だくで、ずり落ちるメガネをくっと上げる姿に、「ああ、この人、私のメガネ萌の原点だ」と再確認。
「コスモゼロ」を歌う前に、こんなエピソードも話してくれた。
「これ、本当は健一に歌わせようと作った曲で。魂は永遠っていうテーマで作ったのにあいつ、やけにポップに歌うからさ。こう歌ってくれって歌ったら『お前!それ!いい!決定!』って。あいつ、いいかげんだからさ(笑。健一が歌うと思ってメロディ複雑に作ったらおもいっきりブーメラン(笑。レコーディングスゲー大変だったんだよね」
ブーメラン笑。確かに、この曲めっちゃむずかしい!でも、メロディラインがきれいでサビの最後の音が上がっていってふっと投げられる感じもすごく好きだ。
ライブも、後半も、後半。
そこで、再び秀樹くんを呼び寄せるショーキチさん。
「秀樹ー。秀樹いるー?」すると、秀樹くん登場。「手ぶらで来たの?」とショーキチさん。「うん、これにしよ。」とステージ上にあるショーキチさんのギターを手に「全然似合ってないね。」にこにことフライングVを手にする秀樹くん。汗だくのショーキチさんを見て「滝に打たれたみたいになってるよ」「びしょびしょで見えない。ワイパー欲しい」とショーキチさん。ふふふ。なんかうれしい。
そして。秀樹くんが。「このシャツ…兄貴のクローゼットからギッてきた」と。(笑「ギッてきた」苦笑いのショーキチさん。秀樹くん、健ちゃんの黒いシャツ、よく似合ってたよ。(涙
で!
ショーキチさんはダブルネックのギターを手に。「今さ、俺12弦って持ってないのよ」と、言いながらポロポロ弾き出す。「今日は俺が秀樹の役ね」はっ!これはもしや…。ぎゃー!そうです、ここで「Bye Bye Popsicle」!!!!
泣くよね。満面の笑みで泣くよね。そして、「KNOCKIN' ON YOUR DOOR」。やっぱり兄弟だよね。声が似てる。ふとしたフレーズで
あれ?健ちゃん?って、思う声が聞こえる。耳をすまして、歌って、笑って、はねて。音を、幸せを享受した。
最後のアンコール。
秀樹くんの「今日は何の日ー?」とわかりづらい(笑)フリがあり、「SATURDAY NIGHT」。アラフォー、最後の力を振り絞って跳ねました。歌って、汗かいて、ぶっ飛びました。
余韻を楽しみたかったのだけど、アラフォーの体には、3曲続けて跳ねたら膝にきた…。
「音楽があって、よかったね」
そう言っていた、ショーキチさんの言葉をかみしめながら下北沢まで、住宅街をぶらぶら歩いて帰った。よぼよぼしながらも、幸せな夜だった。
後日談。
今日歌ったコスモゼロ。2番のBメロ、琴座ですれ違う〜 のところ、健一の上ハモが聞こえたのさ。まじで。歌いたがりだからなー、あいつ(笑)。やすめっつーてんのに。
— 石田ショーキチ (@Ishidalf) 2016年12月23日
嗚呼。健ちゃんは、あの場にいたんだ。
きっと、あの笑顔で。
俺が歌わないとしょーがねーなー、なんて言いながら。